邁堊月日記(7)...


















FX-Audio Tube-1J付属の真空管は,通常バージョンは人民解放軍空軍ミル・スペックの7ピンのプリ管(6J1)だが,オプションで特級品(ミル・スペック選別管)もある.レーダー用の真空管だとか.
真空管をいくつかとりあえず購入しておいた:
・RTC5654
・GE5654W
・曙光6J1(ミルスペック選別管)
・Voskhood 6JT1P

RTCはフランスのメーカーだが,一説にはムラードにより作られたものとか.
GEはGeneral Electric
曙光6J1は曙光電子有限公司の人民解放軍空軍選別管品
Voskhoodはロシア産

試聴は,Barbara Bonney / Fairest Isle (DECCA)のCDクオリティーFlacファイルで行う.
録音自体は1998年だがなかなか質の高い録音で彼女の声に焦点をあてた録りかたがよい.特にリュートとの演奏ではよく分かる.
CDとPrest MusickからDLした44.1kHz/16bitのFlacファイルでは音源は同じでも,後者の方が開放的で高域の延びが感じられる.

なお,電源はACアダプターではなく,リニア電源に換えた(写真3,4).
インター・コネクト・ケーブルは,Audioquest Amazon, NBS Serpent II(写真2).





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   Fujiflum 70





試聴をいくつかやってみた:
付属の曙光ミルスペックの管は,当初は高域が尖りすぎた感じだったが,15時間ほど使っていたらだいぶ先端の尖り具合はとれた.Tube-1Jなしのときよりも低域のふくよかさがよく感じられる.これはこれでよい.

同管の選別管では,3時間ほどのアイドリングで気持ちよいソプラノの艶ののったボニーの歌声が部屋に広がる.音場がもう少し広がった感じだ.低域は同じような傾向.コイツはいい.小生の好みの音.現代的な側面を持ち,それでいてふくよかさがある.球らしさを大きく期待するといなされるかも.

RTC564は現代的ではない.管らしいというか,そんな音だ.
エイジングをかけてどうかわるかわからないが,レンジが狭く感じる音と言ったら良いか.ただ,中低域に独特の魅力がある.そういういみでは球らしい.

Voskhoodはレンジが狭いように聞こえる.高域の付き抜け感がやや減る.ボニーの声がやや高音部で太くなったように聞こえる.音の響きももう少し欲しい.低域の豊かさにも今ひとつという感がある.下の方まで延びていないということか.
ジャズやその他のものでも古い録音にはこれが合うかも.
もう少し使ってやると変わるのかも知れない.




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   Fujifilm X70






このラインプリは,相当にC/P が高い.
使って損はないと思う.但し,スピーカら音出しして聴いてもらいたい.その方が空間に広がる音世界がハッキリと体験できると思うから.空気感がガラッと変わることが体験できる.音量も少し上げて聴いた方がよい.前回のコメントの返事にも書いたが,以前スーパー・ツイターを導入したときと同じくらいの感動を得た.
バスとトレブルのコントローラーのついたバージョン(Tube-03J)もあるが,こちらの方は人によってはあまり高評価を出していないこともある.
ただし,この小さく軽い筐体のために,ケーブルは太い,堅いものは使いにくい.写真のAudioquest程度ならそれほどでもないが,隣のNBSのケーブルは堅いので,筐体が持ち上がってしまう.それ故に,小生は足にソルボセインを敷き,接地面と接着し,天板に鉛の塊を載せている.NBSのStatement級のケーブルでは完全に筐体が浮いてしまうので,そうしたければ固定する術を考えなくてはならない.

小生は球を使ったラインプリを入れてみたが,決してVinusレコードのような,あのような醜い真空管でござい的な音を望んでいるのではない.あくまでもスパイス.
Vinusレコードの音を期待してこれを導入してもそんな効果は無い.それを狙うなら真空管パワー・アンプを使うべきだろう.

FX AudioTube-1のJバージョン(Japan version)について-----
North Flat Japan (本社大阪)の発売した前モデルのTube-1はネットを見ると,同サイズ,同デザインのそっくりの製品が中国製でいくつか出ている.これは,NFJ社が設計し,中国で製造して中国向けにOEMで発売しているものらしい.

Jバージョンは日本独自に全体の音の見直し,回路,パーツ,ノイズ対策などを行ったもので中国では発売していない.

カップリング・コンデンサは,指月電機製作所のフィルム・コンデンサに変更.メイン・ボリュームの抵抗レンジを下げて高精度品を使用したり,音声ラインの抵抗部品にも高音質パーツを使っている. 
電源部にはトロイダル・コモン・モード・コイルと日立金属製ファインメット・ビーズによる2段のコモンモード・フィルタを構築し,強力なノイズフィルタリング回路を構成している.肝は,ファインメットだろう.エルナー製のオーディオ・グレード電解コンデンサも備える.




Commented by tullyz1 at 2018-05-15 00:33
角館の今年の桜シーズンの人出は180万人だったそうで、
どれほどの混み具合だったのか想像もつきません^^;

私もDigiFiのスーパーツイーターのとき違いに驚きましたが
ラインアンプではさらに違いが明確でした。
たまにあった耳障りな音がほとんどなくなった感じです。
C/Pはいいですよね。ダメもとで買いましたが、かなり使えます。
ご隠居がおっしゃるようにラインアンプを入れると確かに先鋭度は落ちますね。
ピアノやパーカッションはラインアンプがない方がいいのかもしれませんが
そんなに尖っていなくても耳触りの良い柔らかな音の方が好きかもということで、
普通に聴くときには付けっぱなしにしています。
心地よさと先鋭度は相反する要求なのかもしれません。
ベーゼンドルファーならアンプを入れた方が好ましいかもしれませんね^^
ペア700円程度の安物のロシア管では低音が控えめになったので
今は付属の真空管に戻しています。RTCの5654RTは気になっています。
リニア電源とはこれだったのですね。結構いいお値段しますね。
Commented by Neoribates at 2018-05-15 10:40
tullyz1さん,
そんなにすごい人が出ていたんですかぁ.あの通りが原宿状態だったってわけですか.
スーパーツイター一つ加えるだけで,ガラリとその世界が変わるという体験はやった方でないと分からない興奮ですよね.こんかいのラインプリもそれに匹敵する感激でした.
尖った先端をほんの少し丸めてくれるだけで音楽に浸れる度合いが違ってくる.生で聞く音楽がスタジオ録音での現場の音のような鮮鋭度はないことは分かっているはずなのにそれを求めてしまう.という傾向がありますね.自戒します.
ベーゼンドルファー,ファツォリをこれで聴くと確かにイイでしょう.ファツォリを使ったトリオものがあるので,さっそく引っ張り出して聴こうと思います.
まだロシア管は手元にありますが聴いていないので,追々試してみます.
付属の人民解放軍管も棄てたモンじゃないですよ.選別管,これ」よかったですよ.お試しあれ.
tullyz1さんだったらDC電源は自作できるんじゃないですか.自作すると相当安上がりでできます.
スイッチング電源とはやはり違いますので,一度いかがでしょうか.
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by Neoribates | 2018-05-14 22:29 | Fujifilm X70 | Comments(2)

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