夏半日記(4)...
















Techart LM-EA7で,カラーオッドシフトや周辺流れが起こるレンズがあると夏半日記(3)のイチロウさんからのコメントにありました.

28mmでは,Elmarit 28mm (第3世代)しかうまくいかず,28mm第4世代やBiogon 25mm ZM,なんとSummicron-M 35mm Asph.などでも上のような現象が起こるとのこと.
後ろ玉が7mm以上出っぱっているもの(撮像面との距離の短いもの)はどうもダメのようで,ということでした.

このような現象は果たしてLM-EA7の問題なのか,そうではないのか.
実はLM-EA7ではなく,他のアダプターを使用してRF用の21mm以下の広角系レンズを使ってα7IIで撮影した場合,これまでもカラーオッドシフトや周縁の流れが発生し,28mmまでは発生しないということが報告されてきました.

たとえば,コンタックスGマウントのビオゴンT* 21mm F2.8とビオゴンT* 28mm F2.8でみると,ビオゴン21mmはカラーオッドシフト,周辺像の流れが発生し,ビオゴン28mmでは発生しないという結果が報告されています.カラスコ21mmでも起きるとも.

ただ,今回のイチロウさんの経験からはElmarit 28mm,コシナ/ビオゴン25mmでも発生しているし,Summicron-M 35mm Asph.(第2世代)でも発生したということですから,必ずしも21mm以下だけとは限らないと思った方がよさそうです.

では,このようなことが起こるのはなぜか?
あたりまえですが,レンズ設計そのものということでしょう.
このレンズ設計が大きく寄与することは,Super Wide-Heliar 15mm F4.5の第1世代と第3世代(III)を比べると顕著でたいへんわかりやすいです.
SWH第1世代では明らかにアダプターを介してα7IIで撮影するとカラーオッドシフト,周縁画像の流れが出ます.第2世代(II)でも同じです.ほとんど両者はレンズ設計が同じです(なお,後ろ玉はレンズガードからはみ出てはおりません).
ところが,第3世代(III)では,まったくその現象は出ません.レンズ設計を変えて,デジタルに対応したのです.後玉の曲率がIIIでは明らかに大きくなっています(レンズガードから出てません).

つまり,デジタル世代に入って対応してあるレンズは後玉がレンズガードより出ているかどうかではなく,レンズ設計の改善により問題現象を回避できたということでしょう.ただ,装着するデジカメ(撮像素子)との相性というか,レンズ設計とのマッチングがあるかないか,これが出てくるのだということだろうと思います.
Summicron-M 35mm F1.4 Asph.(第2世代)にこの現象が起こるというのも結局は交換レンズの宿命ということなのかもしれません.ただ,第1世代では問題ないというroxanneさんからの指摘がありますので興味深いですね.

もちろん望遠,標準レンズは問題なく使えます.
つまり,広角系に見られるカラーオッドシフト,周辺像の流れの発生は,LM-EA7の問題ではなくα7IIの自身の設計上の限界にあるということでしょう.
なお,LM-EA7のHPにおいては使用レンズによるこのような現象の発生については特には書いてありません.

この現象についてはあまり意識してなかったので,今後小生の手持ちのレンズでも自身で少し調べてみることにしましょう.







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   SONY α7II+Techart LM-EM7+Summilux-M 50mm F1.4 Asph. LHSA









LM-EA7の物理的なことで一部操作上不都合なことがあります.
それは,無限遠ストッパーの付いたフォーカスレバーのあるLマウントレンズでのトラブルです.

LマウントはL-MアダプターでM用に変換して使わなければなりません.その分,マウントに厚みが増します.L-Mアダプターを装着してフォーカスレバーを無限遠側に廻していくとレバーがL-Mアダプターの厚み分前に出っ張り,LM-EA7のハウジングにぶつかって,無限遠は出ません.
ヘクトール5cmやズマロン35mmでは50ftくらいでストップします.だいたいLマウント系のレバーのあるものはこのあたりでぶつかるようです.






夏半日記(4)..._f0071708_11364152.jpg



LM-EA7の本体のフォーカスレバーと当たりそうな部分を覗くと,予め溝が切ってあるというか,空いていて(写真1&2のA)当たらないようにしてあるのですが,いかんせん,L-Mアダプターの厚みが邪魔してフォーカスレバーがその溝に入るのを妨げております(写真2のB).

で,解決策としてはどうするか?
フォーカスレバーをヤスリで少しコシコシすればOKです (´∀`) 
まあ,あまり無限で撮ることは少ないので,小生はやりませんがね.
「ライカレンズがAFで使えるよ~」というのがウリなのですが,設計段階で無限遠ストッパー付きのレンズを考慮に入れてなかったとはいかにも中国製です┐(-。ー;)┌ヤレヤレ

写真は,神田明神にて.







Commented by sarutv at 2017-05-08 11:45
このアダプターに関しては、かなり興味がありますので、この様な情報は非常にありがたいもんです。
ありがとうございます。参考にさせて頂きます。
Commented by minton at 2017-05-08 12:02 x
僕もいつかソニーに手を出したら御隠居のこのページを再度読み返します。
オーナーではありませんが、これからのレポートを楽しみにしています。
どこかでLマウント専用のアダプターを出してくれたらいいですね。
Commented by cobag2 at 2017-05-08 12:30
絵馬が一瞬熊手に見えてこの時期お酉様?ってとんでもない勘違いをしてしまいました(笑)。
50mmなのに75mmと見間違うばかりのテクニック、さすがにお見事でございます!

最近、APS SONY機にカラスコ、プラナー、オールドニコンを着けて遊んでます、
センサーサイズがAPSなので周辺やオッドシフトに関するストレスはまったくと
言っていいほどありませんが皆さんの熱心さに我が身を𠮟咤してます(笑)。
Commented by イチロウ at 2017-05-08 12:55 x
私も下記、知りませんでした。
「予め溝が切ってあるというか,空いていて(写真1&2のA)」教えて頂き試してみます。
それと実はSummaron 28 mm 5.6を発注していて使用できると良いと思っておりました。といもヤスリで削るまでの決意は有りません。私もいろいろと細かい事を書いてしまいましたが建物を撮る機会が多く、画面の端ぎりぎり迄使用しなければどのレンズも実用できますよね。ビネッティングだってかえって懐かしいくらいですし、PSで修正可能な範囲です。でも逆にどれほどLeica がMで苦労して対応しているのかが分かりこの値段も仕方ないかなと思いました(笑)。面白いのはMでも開放では色かぶりが出ることが有るSuper Elmaritがそれなりに使用できる事です。広角が好きな私に撮っては有り難いです。ただし、ほとんどパンフォーカスで問題ないですが。
Commented by Neoribates at 2017-05-09 10:16
sarutvさん,
何かにお役に立てれば幸いです.
一般にオールドレンズでは21mm広角系ではカラーオッドシフトが出ると思っておけばよいのではないかと思います.SONYのα用アプリにこれを改善するソフトが出ていますのでお安いのでそれを使うのも一つの手かと.
Commented by Neoribates at 2017-05-09 10:22
mintonさん,
ライカカメラに拘らなければ,これほど便利な有用なものはありません.α7IIは値段もこなれていますので,眼の衰えてきた小生のような年代の人間にはこの上もなく便利です.
Lマウント専用となるともう一台アダプターを持つことになるので,それも抵抗がありますでしょ.指摘したあの穴の部分をもう少し削った改良型を出してもらいたいものですが,そうするとそこから異物,水などが浸入して,雨の時の撮影など問題が出てきそうです.いまでもそれなりの空間の大きさですからちょっと強いあめには不安です.Lマウントの無限遠ストッパー付きのレンズ以外を使用しているときはテープでふさいでおいた方が安心かもしれません.
Commented by Neoribates at 2017-05-09 10:26
cobag2さん,
こんなに絵馬を下げておく簡易な絵馬堂があったなんて気がつきませんでしたが,近くで撮ると前ボケも入って面白いです.テントなので光が通過してたくさんの絵馬の赤が飛散しこの中は全体にやや赤っぽくなってます.それを生かすか,抑えるかで雰囲気作りができます.
APS-Cだとレンズ中心部しか使わないので,そいういう点気にならなくていいですね.広角独特のパーステクティブの楽しみは減りますが.
Commented by Neoribates at 2017-05-09 10:41
イチロウさん,
新Summaronご購入ですか.楽しみですね.
Mマウントでしたっけ.それならおそらく干渉することはないと思います.L/Mアダプターかませた時に厚みの増すことが問題なので,無問題ですよ.お楽しみください.
建物をそのまま写すということが目的だとちょっと引っ掛かるかもしれませんね.まあ,その分,AFが得られるということで(^^;)Super Elmaritが使えますか,それはいいですね.
オールドレンズをレンズと同じ会社のデジで使う,まして他社レンズを他社カメラで使うというのはたしかに完璧な画にして出せという方が酷ですね.撮像素子との兼ね合いがありますので,このあたりが交換レンズ式デジカメの泣き所ですね.理想は交換のできないレンズ一体型のカメラですから.
ライカも自社のオールドレンズでの撮影は保証しないと言っておりますので仕方ないのですが,でもライカはライカで撮りたいですからなお一層の改良をと望む次第で.
Commented by イチロウ at 2017-05-09 16:07 x
Neoribates様 こんにちは。
本日、札幌は好天でしたのでElmarit-M 28 mm3代目をつけっぱなしで待ち歩きしました。このレンズですと建物の写真は2.8でも余うるさい事を言わなければOKですが、好天ではこの条件ではおよそ1/4000になります。回折現象の観点から5.6位までしぼった物が一番隅から隅迄解像します。逆にこのような開放で撮影できて、桜などの(今咲いています!!)接写でもきれいとは言えないかもしれませんがぼけが28mmで楽しめるのは(焦点もきちんと合います。)は便利としか言いようがありません。古いレンズですが昔フィルムで使用した感覚でちゃんと写りますし、以外なのは逆光にも全くと言って良いくらい問題ないことでした。α7 2はライカに比べて駆動や、保存、画像の確認も迅速なので快適ですし、明るいところでも背面液晶、EVFとも(自動)より良く確認できます。私が確認した限りではSuper Elmarit ASPH 18 mm 3.4、Elmarit 21 mm ASPH 2.8も使用できそうに思います。Elmarit 24 mm ASPH 2.8は逆に微妙にアウトです。こちらは大分使い込んでがたがきていますのでオーバーホールしてみようと思っています。あとは35 mmは地味ですがSumarit、50 mm以上は135mmまでMレンズは何でも来いです。勿論、Rレンズやヤシコンのレンズ群(ニコンも)は重くないこと(代理店は500 gと言っていますが海外では750 g以下?)が条件ですが全てのレンズでは大きくなってしまいますが画像としては全く問題有りません。耐久性の問題は今後どのくらい使用できるかにかかっていますが余り重いレンズは使わないようにしたいと思っています。また、Neoribates様ご指摘の様にMレンズで接写ができるのは大変なメリットだと思います。勿論、AMEとかも使えそうですがset upとしたらR 35mm 2.0や28 mm2.8とかが良いかもしれません。あと昔のContax用のTessar 45 mm 2.8も結構良い描写(色乗りが良い)をしますし、付けた見た目も格好良いので(笑)お奨めです。Neoribates様に刺激されて(笑)購入して良かったです。
Commented by Neoribates at 2017-05-09 23:12
イチロウさん,
こんばんは.
いまちょうど桜がさいているんですね.
いろいろと試していただけてこれを読んだα7IIユーザーの方にとっても有用な情報です.
面白いですねぇ,Elmarit 24mmが微妙なんですねぇ.21mmならOKという.単純に焦点距離だけではないようですね.
カメラそのものの優秀性ではやはり日本製には敵いませんね.いろいろな面で便利でかんがえられていますから.まあ,ライカの作法とよくいいますが,まあ,それをたしなむのがライカ信者というものでしょうか┐(-。ー;)┌ヤレヤレ
LM-EA7の重量制限は700gと聞いております.それと,重いものは縦位置撮影はやめた方がよいとも.
Commented by イチロウ at 2017-05-10 06:56 x
おはようございます。α7 IIはハンドグリップ(電池用)の部分は後付けと考え、EVFの出っ張りを外付けファインダーと考えるとカメラの大きさ自体はバルナックライカとほぼ同じくらいの大きさなのですね。勿論、中身が詰まっていますのでずっと重いです。面白いことにフィルム面(CMOS位置)の記載がありますが、当然、大幅に前方に移動していますので、アダプターを含めてレンズの位置は前方へ突出してしまいます。でも、これでMライカの小型のレンズを装着すると昔の入門用一眼レフの風情となり楽しいです。なお、LM-EA7をつけると本体の底面から突出して置いた時に上に向いてしまうのですが、純正革ケースを装着しています。その際、LM-EA7を装着してから予めLM-EA7のモーターの軸の部の後方への突出部にあたるところを革の厚さだけ削るとうまく押し込めます。そうすると格好良く(笑)、机にも置けます。純正ケースには金属板で補強されていますので強度的にはこれでも全く問題ありません。それと電池交換がこのケースでは簡単にできることも良いです。Mのように底板を外すのも(ライカの)昔流で良いのですが、その度に昔フィルムを巻き戻さないで底板を開けて何度も感光させてしまった悪夢が蘇ってしまい(笑)、手数がかかることも含めあまり好きではありません。これも含めてライカの作法なのですが--。ちなみに私は必ずケースを装着していますのでその分さらに厄介です。あと、そんな使い方はしないでしょうがα7 IIのアクセサリーシューの部分がEVFの少し前方にあるのでライカの外付けファインダーをつけても見にくいでしょう、病気ですね(笑)。
Commented by Neoribates at 2017-05-14 10:09
イチロウさん,
こんにちは.
たしかに,α7IIの主要部分だけだとそういうことになりますね┐(´д`)┌
LM-EA7を付けたときにはα7IIの底面とLM-EA7の底面が面一にならないので,置いたときにカメラが後ろに傾いてしまいます.イチロウさんはカメラケースに入れておられるのですね.はい,小生もケースを見たときに切ってしまえば確かに収まるなと思いました.

小生はケース無し派なので,どうしようかと考え,載陽日記(11)に載せた簡易的に三脚ネジで面一状態を作り出しました.まあ,カメラの底面全体ではないので多少不安定かともおもいましたが,LM-EA7の底面積がありますので,なんとか使ってます.

我がクラブのroxanneさんなんかは,縦位置グリップを取り付けてこれを回避してます.これだと全体が大きくはなりますが,電池を多く詰め込めるので,電池消費の多いLM-EA7にとっては良いのかも知れません.Amazonで5,6千円で売っているNeewer製だったと思います(不確か┐(´д`)┌).純製でなくとも十分問題ないと言っておりました.

あははは,α7IIに外付けファインダーは,やっぱビョーキでしょうo(´^`)o ウー
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by Neoribates | 2017-05-08 11:17 | SONY α7II | Comments(12)

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