写月日記(7)...

























オーディオの会社,オンキョーが破産...
思い起こすと若い頃,SansuiのB-2301L Vintage の後にここのパワー・アンプを一時使っていたことがあった.
日本のオーディオ器機メーカの身売り,切り売りは10年ほど前より始まっており,残った日本のオーディオ器機メーカーは,まさに器機から危機に置き換わってきてしまっている.
その中で,オンキョーは,2019年に早苗月日記(12)でも書いたが,音響部門から撤退した後に,2021年1月付けで上場廃止となり,その時点で債務超過額は23億円余りに上り,先はないとみられていて,遂にこの5月13日に自己破産を申請し,裁判所から破産手続きの開始決定を受けた.
最盛期には4,600人いた従業員を2021年9月の時点で5分の1以下の800人余りに絞り込んで減量を図ったり,焼け石に水の株式増資をしていたが,リーマンショック後の景気低迷の影響をもろに受けた家電業界の余波をずっと引きずり,更にご多分に漏れず,オーディオ・マニア(ハイエンド・オーディオ)の高齢化による減少,そして結局はデジタル配信,デジタル・プレーヤー,決定的なスマホによる音楽鑑賞の増大などの若者世代の嗜好の変化を読み切れなく,その対応ができなかったというのがこの結果になったわけだ.
ハイレゾ配信のe-onkyoなどを起ち上げてなんとか持ち直そうとしたが,こちらも2021年にはQobuzを展開している仏Xandrieへ譲渡した.
一時の世界を席巻していた日本オーディオは何処へ.寂しい限りだ...










   La beauté ne réside pas seulement dans les fleurs...
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   Leica M Monochrom+MS-Optics ISM 50mm F1.0 GA










本日の一枚は,バロックで...

サビーヌ・ドゥヴィエル / バッハ、ヘンデル: アリア集(Erato,9029667786)

e-onkyoよりダウンロード.Flac 24biit/96kHzファイル.
その澄んだ音色の幅広さのコロナトゥーラ・ソプラノの声で人気のサビーヌ・ドゥヴィエルと夫君ラファエル・ピション率いるピグマリオン・バロック・アンサンブルでバッハとヘンデルのアリアをやっている.
天使の声には歳を食いすぎているが(失礼),天上界を彷彿とさせるその歌声にうっとり...
ドゥヴィエルは,1985年12月12日生まれ.仏・カルヴァドス出身.
2013年の仏デビュー・アルバムでヴィクトワール・ドゥ・ラ・ムジーク,ディアパゾン・ドール賞を受賞.

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   Fujifilm X70



録音: 2020年12月19, 21, 23日.パリ,Temple du St Esprit.

ソプラノ: サビーヌ・ドゥヴィエル,指揮: ラファエル・ピション,ピグマリオン・バロック・アンサンブル,バリトン: ステファン・ドゥグー(全9曲).

曲目
1) J.S.バッハ:『わがイエスよ、いかばかりの魂の苦しみ』BWV.487
2) J.S.バッハ:カンタータ第146番『我ら大いなる悲しみを越え』BWV.146 ~ シンフォニア
3-10) J.S.バッハ:カンタータ第199番『わが心は血の海に漂う』BWV.199
11-12) ヘンデル:『ブロッケス受難曲』HWV.48~Ach Gott mein Sohn…. Soll mein Kind
13-14) ヘンデル:歌劇『ジュリオ・チェーザレ』~何てことを耳にするのかしら?…もし私を哀れと思われないのでしたら
15-16) ヘンデル:『ブロッケス受難曲』HWV.48~Hier erstarrt mein Herz und Blut… O Anblick
17) ヘンデル:歌劇『ジュリオ・チェーザレ』~私の運命を嘆き悲しむでしょう
18-19) ヘンデル:オラトリオ『時と悟りの勝利』~Pure del cielo intelligenze eterne…Tu del ciel ministro eletto
20-24) J.S.バッハ:カンタータ第51番『全地よ、神にむかいて歓呼せよ』BWV.51

5月15日のNHK BSプレミアムの プレミアム・シアターで,このアルバムとおなじバッハとヘンデルのアリア集を放送していた(2021年10月19日.フランス,フィルハーモニー・ド・パリで収録).
サビーヌ・ドゥヴィエルと、夫であるラファエル・ピション指揮の共演による、バッハとヘンデルの変幻自在な歌唱だ.
伴奏のピグマリオン・バロック・アンサンブルのメリハリの効いた演奏も,中でも闊達なフラウト・トラベソがいいなと思った.

日本でのCDアルバム・リリースは昨年11月.
こちらも第1曲目のBWV487が目も覚める両者の演奏に,へぇーであった.


Commented by G7_2007 at 2022-05-17 21:53
オンキョーのコンポを使ってます。高級な機種ではないけれど、リビングで聴くには十分です。
オンキョー、デノン、ケンウッド、ビクター、テクニクス、アイワなどなど、
無くなったブランドもあれば、名前を変えて残っているブランドなど、悲喜交々ですね。
その点、いろいろあったけど結果的にソニーは上手く変化できた企業だと思います。なんか、最高益とか...
でも、最近の若者はソニーを外国の企業だと思ってるそうですよ... ^ ^ ;
Commented by minton at 2022-05-18 10:54 x
オンキョーが無くなっちゃいましたね。
僕が若いころはオーディオ最盛期でした。世界をリードしてたのに栄枯盛衰ですね。
山水のJBLのコンボなんてのが親戚にありました。

先日SAABの戦闘機がニュースになっていましたが、日本企業はちゃんと生き残れるのか心配でなりません。
経営者の顔が見えない企業ばかりです。
海外ではITに限らず企業のトップの名前も顔も出ていますし、自分の考えを言える人が多いです。
そんな会社が出てきてほしいです。
Commented by tullyz4 at 2022-05-18 11:01
オンキョー、さすがにもう限界でしたね。他のオーディオメーカーも同じですが。
オーディオという存在は縮小するばかりなんでしょうかね。音楽をちゃんと聴きたい人って
いないのでしょうかね。新しいメーカーもあるわけなので、単に時代に乗れなかっただけ
なんでしょうかね。
Commented by M at 2022-05-18 17:47 x
会社更生法ではなくて破産手続きというのが今の状況を言い表してますね。
僕はオーディオに詳しいわけではありませんが、それでもサンスイやオンキョーのアンプやプレーヤーは憧れであり、使ってもいましたから、このニュースはとても残念に感じました。
Commented by Neoribates at 2022-05-20 00:21
G7_2007さん,
お使いですか.大分以前にプリメインアンプを使っていました.いろいろな工夫した回路や電源系など当時はオーディオ会社は新製品を競っていましたです.今は昔ということですが.
仰るように,ソニーもけっこう危ない橋を渡って,乗り越えなんとかソニーとしては生き残りましたが,往事のソニーとは違った会社になりました.それでも,最後に残ったブランドの勝ということではあります.
ソニーの始まりが小さな町工場からのスタートなんて若い人は知らないでしょうねぇ.
Commented by Neoribates at 2022-05-20 00:26
mintonさん,
SANSUIのパワーアンプは結構長い間使っておりました.その後に初めて洋物を導入しました.Jeff Rolandでした.今の若い人は,そこそこスマホでハイレゾも再生できるので,わざわざスピーカから音を出して聴こうなんてしないようです.でも,違うんですがね.スマホでそこそこ写真撮れるからカメラも入らないと言うことになってしまっているのと同じですね.
Commented by Neoribates at 2022-05-20 00:32
tullyz4さん,
オーディオ装置を揃えて聞こうなんていう面倒なことはしたくないのでしょうか.ハイエンドでなくても,いろいろと拘っていろいろやってみるなんていう興味もないのでしょうね.給与所得がこんな状態で上昇しないのですから,オーディオなんかやろうなんていう気がなくなるということは分かります.海外を見ても,たしかにあ新しいメーカーが出てくるのですが,けっこう短命で終わる数が多いようです.この傾向は世の東西を問わず同じようです.
Commented by Neoribates at 2022-05-20 00:35
Mさん,
あの会社が破産,ということがこの数年では珍しくもなくなってきているという世の中になりましたね.
それにしても,日本のオーディオという世界はこの先,どうなるのでしょうか.技術者もどんどん先細りで継承など望むべくもないということになってしまうのでしょうねぇ.
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by Neoribates | 2022-05-17 18:44 | Leica MM Typ 246 | Comments(8)

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